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推敲はむつかしい

・満月をラインで送るこの時代

和歌を詠むには情緒が足りず

 

ある方の作品で、作者はよく存じ上げていないが、

結社紙にある作品である。

 

 たしかに、「和歌を詠むには情緒が」足りない

という気持ちはじゅうぶんわかるが、

わたしには認識の早すぎる作品にうつるのだ。

よく言えば、説明的、悪く言えば含意がない。

 

と、その作品に、「短歌人」の所属の歌人、

あえて名前を伏せるが、現代歌人協会員では

なさそうであるが、毎号、批評されている方なのだろう、

その方から、

こういうコメントが寄せられていた。

 

 「『この時代』に助詞がないので『この時代は』にしたい。

確かに多くの人が満月を和歌で詠むよりも

写真で楽しんでいる時代だ。せっかく

言葉があるというのに」

 

ごもっともである。では、彼女の推敲した

作品をみてみる。

 

・満月をラインで送るこの時代は

和歌を詠むには情緒が足りず

 

なんだか作文のようになっていないか。

とくに下の句が説明的であるのにもかかわらず

「時代は」にしたばかりによけいに

ダサくなってしまったようだ。

 この添削はまずかった。

 

 推敲というものはむつかしい。

よほどの力量がなければ

作品が台無しになる。

 

 じゃ、お前ならどうするのか、

そんなことはわからない。わからないけれど、

ダメなサゼッションはよくわかる。

 

・抒情性どこにあるのか満月を

ラインでおくるこの時代には

 

 さて、これがいい歌かどうかは

わからないが「時代は」にしろ、

という提案よりかはましだろう。

二句切れにして、倒置法にして、と

すこし変化させてみたが。

 

どうかな。