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店主日記

ケトン体

今日は撮影があった。

 

といっても胃のレントゲンである。

むかしは、大田区が全額負担してくれていたが、

去年からケチになって多少の料金がかかる。

 

 むかし同僚の理科の先生が、

かれは運動神経を家の金庫に

置いてきたようなひとで、

いわゆる「ウンチ」なわけで、

学校に来たレントゲン車のなかで、

「はい、仰向けになって」とか技師に言われても、

そのとおりに身体がうごかず、オロオロ、おたおた、

「仰向け! 仰向けだよ」と、最後は技師さんも

マイク越しに激怒していたことをおもいだす。

 

 では、まず注射を打ちます。

オリモ先生が刺す注射は痛くない。

これは、やはりうまいひととそうでないひとと、

差がでるところ。

 

「痩せたね」

 

「はい、約一年で20キロくらい落ちました。

炭水化物と揚げ物を抜いたせいです。

でも、炭水化物抜くと身体がくさくなるって

聞いたんですけれど」

 

「うん、それはね、脳の栄養っていうのは、

糖分しか受け付けないから、炭水化物を抜くとね、

たんぱく質の中から、ケトン体というものを

身体が探し出して、それを脳に送るんですよ。

それが匂うの。でも、臭いという臭さではないよ」

 

「そうなんですか」

 

「グルコースという、うん、ま、糖分だよ、

これが脳の栄養となるから、だから、それがなくなると、

べつの何かを身体が探すんだよ。

それがたんぱく質のなかのケトン体。

炭水化物抜くときは、たんぱく質を摂らないと、

筋肉は落ちるし、痛風になるよ」

 

「え。痛風ってぜいたく病って聞いていますが」

 

 わたしは耳学問専門で、

本を読むことが大の苦手である。だから、

こういう専門家がそばにいると、

ロングインタビューすることにしている。

それが、わたしの知識として活かされるのである。

 

「いや、そうじゃないんだな。摂生してはげしい

運動なんかするとなるよ。マラソンしたあとに

痛風になることもある」

 

わたしは、大学の先輩が痛風で

ずいぶん難渋していたことをおもいだし、

なにしろ、風が吹いただけでも痛い、だから、

「痛風」ということくらいは知っているから、

あの病気にはなるまい、とおもっていたので、

すこし心配になってきた。

 

「あの、痛風にならないためにはどうすればいいんですか」

 

「食べるんだよ」

 

「あ、食べるね・・」

 

 けっきょく食べなければ、臭くなるし痛くなる、

ということなのだろう。

 

 食事制限をしているひとは、ほとんど

空腹なわけで、ただ、

その空腹の五大メリットは、

若返りのホルモンがでること、

免疫力がつくこと、

暗記能力が向上すること、

と、三つまではおぼえているが、

あとは、忘れている。

ということは、暗記力が低下している気もするが、

食事を控えて、身体が軽くなったことをおもえば、

いまのところは、これでよしとすべきだろう。

 

 

 今日の夕方から、鷺沼で授業である。

塾につくと、去年の教え子のホノカが事務をしている。

 

「せんせい、痩せたね」

 

「うん、だろ。炭水化物を抜いたからさ」

 

「あ、わたしもしばらくしていたんですが、

炭水化物を抜くと臭くなるって聞いていたから、

やめたんです」

 

 わたしは、うんうん頷きながら

「ホノカね、炭水化物を抜くとね、脳の栄養はさ」

と、朝のオリモ先生の話をこれから、

わたしはエンエンとすることになるのである。