店主日記
店主日記

血液型

血液型2017/8/14

  原始人はすべてO型である。

北京原人もネアンデルタールも、

みんなO型の血であることは、

すでに研究済みのこと。

 

 それから、A型とかB型とか、あげくに

AB型などがうまれてきたそうだ。

 

 わたしは、血液型から性格判断するのに

消極的であるのは、そんな4種類くらいに識別されるほど

にんげんは単純ではないとおもっているからだ。

 

と言いつつも、O型が蚊に刺されやすい、というのは

妥当しているようにおもう。

 

 わたしもよく刺されるほうである。O型だからだ。

 

わたしは、虫を忌避することはないが、

蚊と蜂だけはかんべんである。

 

 むかし、広島の川西さんちに泊めてもらったとき

ガラス戸にこんこんあたる虫がいるんで

ぼんやり起きてみたら、スズメバチだった。

 

 わたしの目と鼻の先のガラス戸にむかって

こんこん、このときはあわてて退散したのだが、

よく無事でいられたとおもう。

 

 あとから、業者を呼んでみてもらったら、

押入れの天井に巨大なスズメバチの巣があったそうである。

 

わたしは、そこで一晩をスズメバチと共にしたことになる。

 

それをおもうと、いまでも冷や汗がでる。

くわばらくわばら。

 

 

 蚊は、アカイエ蚊とか、たしかとんでもない

病になる蚊もいるが、そんな喫緊なことではなく、

ただ、刺されるのがたまらなくいやなのだ。

 

 いま、スーパーの駐輪場に自転車をおいて、

仕事に出かけているが、そこが藪のような場所である。

 

 夜、戻ってきて、料金をいれていざ自転車をだそうとすると、

なにやら左腕に違和感がある。

 

 どうも蚊に刺されたような気がする。

しかし、わからない。

 

 このときは、文字通り「気がする」だけで、

痕跡がない。ただ、ぼんやりとかゆいような気がするのだ。

 

 このなんとなくのぼんやりの不快感。

いらいらしてくるすこし手前の感覚。

これがたまらなくいやである。

 

 

 そして、どこがかゆいのか、手当たりしだい掻いてみる。

 

自転車をそこに放置しておきながら。

 

 

 でも、どこがその現場なのか、わからない。

 

と、しだいに、蚊が降り立って、わたしの皮膚を刺しただろう場所が

判明してくるのだ。皮膚が盛り上がるピンポイントがわかりだす。

 

 ここか、刺されたのは。

 

 そこで、はじめて常備しているかゆみ止めを

塗ることになる。

 

 

 この、悲惨な現場の特定までにかかるタイムラグが

すこぶるいやなのである。

 

 血くらいさしあげるから、たのむから

変な液体と交換しないでいただきたいと、

蚊の外務大臣と交渉したいくらいである。

 

 きのう、久しぶりにアヤコが来店した。

 

「今日、先生店にいる?」

といラインからはじまる物語。

 

「食べに行こうかなぁ。今池袋」

 

アヤコが来たのは、ちょうど12時ごろだった。

バイトの啓子に紹介した。

 

「きれいな子だろ」

と、言うと、啓子もうなずく。

 

「何年ぶり?」

 

「うんとね、最後に会ったときから6年かな」

 

「そーだ、かれと会う前の時間にね、昼飯」

 

「うん、そうだね」

 

アヤコは、高校時代よりはるかにスレンダーになっており、

ものすごくきれいになっていた。

 

「いまいくつよ」

 

「29」

 

「え。そんなになったか」

 

「うん、先生と30歳離れているから」

 

「あ、そーなんだ。アヤコと最初に会ったのは、

西葛西の駅だったな」

 

「そうだったね。よく覚えているね」

 

「忘れないよ」

 

「なんかわたし、みんな忘れていってるみたい」

 

「それじゃ、カウンセラーつとまんないじゃない」

と、わたしが言うと、彼女はすこし微笑んだ。

「そうだね」

 

「ということは、アヤコといっしょにいたのは」

 

「もう10年も前だよ」

 

「そうか、そんなに経つのか、どう、おれ痩せたろ」

 

「うん、前より若くなったみたい」

 

10年前は、いったいおれはどんなだったんだろうと、

おもいながら、アヤコに冷やしつけ麺をだした。

 

 

「なんだっけ、山崎まさよしの」

「♪どれ以上なにを失えば、じゃない」

「そうそう、それ聴くと先生おもいだす」

 

 

すこし、ゆっくり彼女は店にいて

成増に帰っていった。

 

「こんどはゆっくり」というラインをいれたら

「はーい」と返事が返ってきた。

そして、彼女からは、

 

「おいしかったよ。

先生も元気そうでなにより。

いろいろ忘れていたけれど、

今おもうと、先生にいろいろわがまま

言ってたんだねぇ」

と、あった。

 

 そうかもしれない。

 

しかし、しかたない。

 

彼女はB型だから。